Case. 20
デザイン画を見る度
当時の魔法のような経験を思い出します。
私達ふたりは、高校生からの付き合いで、交際9年目にして彼からのプロポーズ。
それはぬいぐるみとその耳につけたおもちゃの指輪を添えてのものでした。一生の誓いとして、指輪は一番気に入る物をふたりでじっくり決めたいと思っていたから。
そしてふたりで銀座に出かけて雑誌に載っていたお店を覗いて、最後に行ったのがルシエでした。
当初彼は「オートクチュール」という言葉すら知らず、敷居が高いと構えながら入ってみたのが正直なところ。
しかし相談していくにつれ、次第にデザインのイメージはもちろん、宝石の種類や価格まで自分たちの希望に近付き、気がつくと自分達の指輪が徐々に形をなしていくのをふたりとも楽しんでいました。
相談の末、私たちの頭の中のイメージをさらに超えるデザイン画をデザイナーさんが描いてくれた時、まるでふたりが前からイメージしていたかのような素敵なデザインに魅せられました。
閉店間際に関わらずその日のうちに指輪作りを依頼しました。
婚約指輪を作った時から、それに合わせた結婚指輪もルシエに作ってもらおうと決めていました。
やはりイメージ通りに出来あがった結婚指輪は今では体の一部のようです。
そして、いただいたデザイン画を見る度当時の魔法のような指輪づくりの経験を思い出します。